[後編]CEO藤田×カウンセラー水杉さん | 1人目カウンセラーが語る、Smart相談室誕生の軌跡【カウンセラーの想い】
前回・・・
今回お話を伺ったのは、長年事業会社で人材マネジメントの制度構築から社員個人のメンタルサポートまで幅広く携わる人事のプロフェッショナルでありながら、ひいては産業カウンセラーとしてSmart相談室で働く人のモヤモヤ解決支援のカウンセラー活躍する水杉 翼(みずすぎ あきら)さん。Smart相談室の1人目カウンセラーとして携わった経緯、カウンセラーを志した理由、現場で働く人事労務として考える課題について、CEO藤田とともに話を聞いた。
Smart相談室の良さって何
-実際に携わりながら、Smart相談室どういったサービスだと思いますか?良いところを教えてください。
水杉さん)
相談者さまからすると他の人には言えないような仕事の悩みもあります。上司や同僚にも言いづらいようなこと。ちょっとしたものもそうですが重いものは尚更言えない。それをフラットに第三者が話を聞くことで自己解決したりスッキリして道が開けたり。それが一番の価値だと思いますね。
また、人事や労務の方にとっても良いことがあります。正直、社員の方一人一人様子を毎日見たり、どんな思いを抱えているのか気づくことがは難しいです。それで気がついたらメンタル不調になって休職や退職に至ってしまったり。その社員の方にとっても辛いし、抜けてしまったチームにとっても辛いし、人事労務としても気づけなかったことで心が苦しくなったり。また、対応を間違えると状態が悪化したり、訴訟になったりすることも考えながら対応を進めるのは、とても大変な業務なんです。そういったところを第三者が未然に防止をしてくれるのはとてもありがたいサービスだと思います。社内の人事労務ではやりたくでもできないところなんですよね。
藤田さん)
すっごい良いお話ですね。人事労務の水杉さんならではの視点でのお話だなと感じました。
人事労務の課題
-メンタル不調の予防やサポートにおいて、現場の人事や労務はどのような課題を感じているのか教えてください。
水杉さん)
理想は一人一人毎日どんな状態なのかを把握して適宜ケアすることが理想です。そのためにラインの上司の方、産業医の方と連携しながらやっていくのですが、なかなか難しいのが現状です。社員の方のメンタル不調やハラスメントについては、場合によっては間接的に聞くしかできないこともあり、対応が遅れていしまうこともあります。休職に入られた方からのご相談の対応や復職支援など、社員の方と伴走しながらの業務は、言葉の選び方ひとつとっても、とても気をつかいます。あとは、就業規則に則った休職から退職になる場合の人事労務の方の心理的負荷はとても重いのです。なんとかしたいが、なんともできないう板挟みになってしまう構造です。とくにメンタル不調で休職している人に対して、会社としての見解を言わないといけない。業務として行うものの、辛いものは辛いですよね。
-藤田さんは現場の人事労務の方はどのような課題を持ってると感じますか?
藤田さん)
結構罪悪感があるのではと思う。助けたい、よくなってほしいと言う思いはあっても、やることはメンタル不調になった方の退職勧奨や労務管理なので、それが労務の人の元々のやりたいことなのか。そこにモヤモヤを感じるのではないだろうか。作業そのものはやることをしっかりされると思うが、その人たちのやりがいやその人たち自身をサポートすることをしたい。それは、水杉さんの働く姿をみてサポートしたいと思ったんです。僕がミスをしてしまったことをカバーしくてくれたり、本当に助けてもらった経験があって。他にも労務担当の方の姿を見ていて、会社からの厳しい判断を伝えないといけないのが辛そうだった。その労務の方が心を病んで半年に1回くらいは休暇を取得していたりもしてましたね。
-Smart相談室のようなメンタルヘルスを支援するプログラムやカウンセリングを導入する企業は増えていますが、従業員が積極的に利用するためにはどのような要素が大切だと思われますか?
水杉さん)
カウンセリングは、1回受けるとすごくいいなっと思ってもらえますが、その1回目を乗り越えるまでをなんとかしたいなと感じています。会社の風土はあると思うけれど、きっかけを促すような仕掛けがあるといいですね。やっぱり初めて相談をする時は心理的抵抗感もあると思いますし、想像されますよね。いかにすぐに予約まで辿り着けるのかがとても大切だと思いますね。
藤田さん)
相談のしやすさというのを二つの面から実現しようとしています。まずは、心理的な側面から守秘義務を守ること。ほとんどの企業さまはなんだかんだ労務に言うと社内に広がっちゃうという懸念があるので守秘義務を徹底しています。また、いろんなカウンセラーがいろんな相談を受けることができる。悩んでなくても良いし、ドタキャンしてもいい、くらいの気持ちでいます。
二つ目はプロダクトとしての相談のしやすさです。導線の短さ、誠実さやメッカワ(めちゃくちゃかわいい)をコンセプトにおいてるのが大きいと思っています。
メンタルケアから対人支援へ
-最後に、これからの日本の労働環境やメンタルヘルス支援に向けて、Smart相談室を通してお二人が共に目指す未来の姿についてお聞かせください。
水杉さん)
仕事をしていて、生きていて、不安な気持ちを全て取り除くことは難しいけれど、過度に苦しさや辛さを抱えるのではなく、そうした時間を少なくすること。自分もそうありたいし、1人でも多くの人にそう感じてもらえるような支援を続けていきたいと考えています。
藤田さん)
水杉さんとスタートした時から感じていたことなのですが、相談者さまはいろんな相談をしてくれて、いろんな人がいる。その幅は今も広がり続けているんです。そこで思ったのは、メンタルヘルスがどうのこうのということではなく、まずは目の前にいる相談者さまに対してしっかり対人支援をしていくことが大切であるということです。メンタルヘルスのオンラインサービスからいわゆる対人支援のオンラインサービスへ変化をしていかないと、本当に届けたい価値提供や目指す世界観は実現できないとすごく思っていて。水杉さんから当時教えてもらったのはそういうことだったんだと思います。僕らは相談者さまのどんな相談にも対応するというのが、今のSmart相談室のコンセプトや世界観を作っているので、ここはブレずに掲げながら、プロダクトを含むサービス全体として僕らが変わっていかないといけないという風に思います。
編集後記
Smart相談室のカウンセラーは2023年8月現在約200名が在籍している。何ごとも、無から有に変化することで新たな価値が生まれる。まさに、CEO藤田さんと1人目カウンセラー水杉さんの出会いが、無から有になる瞬間であり、いまのSmart相談室に繋がっている。出会うべくして出会った2人が試行錯誤しながら事業開発を推し進め、その想いに引き寄せられるように今では多くのカウンセラーや導入企業さまとのご縁が紡がれている。
Smart相談室は対人支援を通じて働く人のモヤモヤを解消していくサービスである。何よりも関わる「人」にフォーカスを当て、課題に対して真摯に正面から向かい乗り越えていくことで、いつの間にか点が面に変化し、価値提供の拡大になる。
記事執筆:まゆこ
インタビュアー:Midori Egawa