Smart相談室、人事制度のPDCA回してるってよ!
Smart相談室CEOの藤田です。Smart相談室では、2023年7月から人材マネジメントシステムを運用していこうと考えて、所謂人事制度も同じタイミングで導入しました。
仕組みの運用や改善活動、事務的な作業を担当するため、社内に「HRオフィス」という組織を作って、麻友子さんに責任者をお願いしています。その後、枝ちゃんも入社してパワーアップしました。
Smart相談室の会計年度は1月始まりなので、2024年1月で人事制度が半期運用されたことになります。
その結果をもとに、2024年1月に改訂を行いました。なかなか、制度運用の実態についてまでオープンにしている企業はないと思いますので、どのように考えてどのように運用改定しているのか、スタートアップ企業の方々が追えるようになるといいなぁと思って記事化します。
念の為確認ですが、Smart相談室が導入、運用している人事制度は、特別なものではないです。教科書通りに導入と運用を行った過程をお伝えできればと思います。「それで良いんだ」と安心してもらうために読んでもえらば嬉しいです。
人材マネジメントの中の人事制度
そもそもの確認ですが、人事制度は、人材マネジメント制度の中の一部の機能であるという位置付けです。
*私の人材マネジメントに関するフレームワークの基本は守島先生の「人材マネジメント入門」が基本になっていますので、興味がある方はどうぞ、古いですが・・・
社長一人では対応できなくなったので人事制度を作りました
2021年2月の会社設立から、採用して、配置して、育成して、フィードバックして、っていうHR領域の一連のプロセスを私一人で阿吽の呼吸の中で行っていました。ですが、メンバーの数が増え、機能が分化され、採用の背景やそれぞれの成長、失敗の要因など変数が多くなりすぎて私一人では十分に実態を把握できなくなりました。結果として、「個人の成長」と「企業の成長」を一致させるようなマネジメントができなくなる可能性を感じて、人材マネジメントシステムの導入に至りました。
VMVの設置、HRオフィスの設立、人事制度の導入、組織開発の仕組み導入、会議体の整理、マネージメントレイヤーの育成など、複数の取り組みをローンチしました。
念の為・・・私は出来ませんでしたが、「社長が一人で全社員の目標設定、評価、報酬を運用、決定できる」のであれば、人材マネジメントシステムは不要だと思います。
わかりやすい成長を支えるため、人事制度が必要だ!
Smart相談室はT2D3の実現に向けてチャレンジ中です。人材マネジメント制度を導入した2023年7月時点では、既にT2D3のカーブを実現できるかもと言う肌感覚がありました。T2D3のとっかかりも実績として確認できていました。なので、「このままではまずい」、「T2D3を支える組織が作れていないかも」、と言う思いで人材マネジメント制度の導入を急いでいました。
個人的な意見ですが、組織の成長を支えるためには「わかりやすく、VMVや目標とメンバーの思いがリンクすること」が一番大切だと思っています。そのためにツールとして活用できる人事制度が必要でした。当時の様子がわかる文章がエンジニアチームのマネージャーの亘さんとの対談中にあります。
具体的には、メンバーは上長と話をして、お互い納得するように目標を月次で設定し、月次で、その月の実績の確認、双方の認識、次の月に何をするかの確認をするという評価制度です。
私は、新卒の頃からMBOによる目標設定を制度と成果主義による評価を経験して育った世代です。そのためか、MBOとOKRの間の様な雰囲気の運用になっています。経営層とマネージャー、マネージャとリーダー、リーダーとメンバー、そんな感じで上位目標と自分の目標がリンクするように目標設定が進みます。
*何だか屋根瓦っぽいイメージですね・・・
スタートアップでは、仕事内容や感情の浮き沈み、個人の成長スピードの差異などが著しく変化します。その変化に対応するために、目標設定を明確にすることが大切です。
何をやっているのか、何のためにやっているのか、その結果、どうなるのか、次はどうなるのか、先月と変わったのか、月中で変わったのか、それらの内容が目標として本人と上長の間で擦り合わせができていることが大切なのです。
余談ですが、頻繁に「いつ人事制度を入れたらいいですか?」と質問されます。今回の私の例で言うと、その時下記のように感じていたので、そのような時に入れたら良いと思います。
・「このままではまずい」と思った時
・私一人では十分に実態を把握できなった時(個人的には7名くらいまでは把握できるイメージあり)
・「個人の成長」と「組織の成長」を一致させるようなマネジメントができなくなると感じた時
・人数で言うと、社員数15名くらいの時
でした。ご参考までに。
人事制度の基本の確認
人事制度って色々あると思いますが、私のスタンスは「等級制度」「評価制度」「報酬制度」の3つを人事制度と考えています。その他は、人材マネジメント制度の中に入っているという理解です。採用関連や組織開発、教育関連、福利厚生などは人事制度とは言わず、人材マネジメント制度という整理をしています。学術的には色々な意見があるのでしょうが、ここの文章中では、そのようにさせてください。
2023年7月から「等級制度」「評価制度」「報酬制度」の3つを導入しました。ミニマムもミニマム、最低限の内容で、1年半先を賞味期限に、半年毎に改善することを前提に、社内説明をして導入しました。
等級制度:まず4段階、8段階で500名くらいまでいきたい
等級制度は、従業員を能力・職務・役割等によってランク分けする人事制度です。等級には序列が設けられ、その高低に応じて給与や処遇が定められます。また、人材育成や配置の決定等にも用いられます。
現在のSmart相談室の等級制度は4段階です。等級は、お給料や評価に紐づくので影響範囲が広いです。早めに階段を多く作っておくのか都度調整するのか、悩みどころですが、Smart相談室では社員数70-80名くらいまでは4段階で運用できると考えています。その後は8段階くらい(未定)にして500名くらいまで対応できればなぁと考えています。
個人的な感想ですが、「一人で自律して仕事ができる」等級と「マネージメントができる」等級をどこにするのか、がポイントのように思います。それぞれが、社員数と組織形態を規定する社員にあたるからです。もっと言うと、この2つの等級がしっかりしていれば、事業運営のスピードが上がったり、コストが下がったりするイメージを持っています。
評価制度:定量目標を達成するためには当然プロセスやVMVによる土台ができている
評価は、定量目標とプロセス目標とVMVの実現、の3つのカテゴリーで目標設定してもらい、その内容を評価しています。
一番大事なのは、「ビジョン・ミッション・バリュー」に沿った行動がなされていることだと思います。どうしても定量目標や納期に気持ちがいきがちですが、その成果に至るまでも重要です。
ビジョンを実現するためにミッションが設定されていて、ミッションと定量目標が紐づいている、定量目標を達成するためにバリューに則したプロセスが必要になる、というように考えました。
定量目標とプロセス目標とVMVの実現の3つは、等級によって重んじる加重が決められており、等級が上がるごとに定量目標に達成が重んじられるように設計しています。これは、プロセスやVMVを軽んじている訳ではなく、高いレベルの定量目標を達成するためには当然プロセスやVMVによる土台ができていると考えたからです。
報酬制度:成果、プロセス、職能のミックス
報酬制度は、成果主義・プロセス主義・職能主義がミックスされています。自分で出来る/サポートがあれば出来る、ひとつの機能の中でできる/複数の機能の中でできる、というコンセプトで大きなグレードを決め、そのグレード内で仕事内容を評価しています。
給与レンジについては、各グレード内毎に異なっており、グレードが高いほど、給与レンジが大きくなるように設定しました。その額は、運用する中でSmart相談室にとって最適な幅を実運用の中で見出しました。
戦略実行を支えるためにどんどん運用(変更)する
大切なことは、どんどん運用していくことです。運用=変更です!事業拡大のスピードが速いので、評価期間である6ヶ月の間でかなり状況が変わります。半期毎の節目で変更することで間に合えば良いのですが、間に合わない場合は、どんどん例外として変更しましょう。この例外処理は、社長が責任を持って行うのが良いと思います。何かあれば、社長が責任を持って対応、説明する、それが大切です。
私の場合は、過去に何度か人事制度を作ったことがあるので、大体の大枠を決めてから、運用を通して微調整をするスタイルをとっています。気をつけるのは、運用の実態をマイルドにして制度に反映させることです。
実際の運用でわかった課題が、自社の個性と考えて、ちょっと変わった感じになるかもしれませんが、どんどん運用から得た学びを制度に反映させましょう!
変えてイイんだ!変わるんだよ!
最後に声を大にして言いたい!人事制度も変えてイイんです!最適解を模索し続けましょう!組織も制度も生きもの、変わるんですよ!
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