スポーツ界のメンタルケア普及に貢献したい〜「アスリート応援プロジェクト」特別編〜
こんにちは!Smart相談室CEOの藤田です。今日はアスリート応援プロジェクトにご協力をいただいているカウンセラーの岡安さんに、プロジェクトへの想いを伺いました。
*アスリート応援プロジェクトとは
頑張る人たちをSmart相談室によってサポートしたいとの想いから発足したプロジェクト。 特に、日本スポーツ界が課題として抱えている現役アスリートのメンタルヘルス対策やキャリア支援、引退アスリートのセカンドキャリア支援を、カウンセリングを通して積極的に推進する新しい取り組みです。支援アスリートに対して「Smart相談室」のカウンセラー相談を無償で提供しています。
発足の想いは以下で語っています。
自分が生かされた理由
(藤田)岡安さん、いつもありがとうございます。岡安さんはSmart相談室のカウンセラーでもあります。どういう経緯でSmart相談室のカウンセラーに応募いただいたのですか?
(岡安さん)キャリアカウンセラーやキャリアコンサルタントとして活動できる場所を探していたときに、Smart相談室がパッと目に入りました。これまで、アスリートや、ネイルの先生など女性の多い世界で働く方たちなど、少し特殊な環境にいる方のカウンセリングはやっていたんですが、一般企業で働く方のカウンセリングにはあまり取り組めていなかったので、この経験ができると自分の幅が広がるなと思って応募しました。
(藤田)もともとはスポーツ選手だったんですか?
(岡安さん)はい、アルペンスキー選手でした。スポンサーにもついていただいて競技に取り組んでいたのですが、20歳の時に転倒して靭帯の大怪我をしてしまいました。
その後はコーチとして現場に戻ったのですが、コーチだけでは食べていくことが難しく、働かなければならなくて。そこでソニーの中途採用の枠に応募して、そこからは会社員として24年間勤めました。
(藤田)大企業ですね。なぜ会社を辞めて今の道に?
(岡安さん)ソニーでは自分の好きなことを仕事にできていたのですが、楽しくて働きすぎてしまって、今から5年前に脳卒中で倒れてしまったんです。本当に危ない状況だったのですが、意識が戻ったときに「自分が生かされた理由」っていうのをすごく考えてしまって。それまでは定年退職まで勤めようと考えてたんですけど、そうではなく生かされた理由が他にあるなと思ったんです。
そう考えたときに、自分が20歳の時に挫折をした経験が未だにトラウマに残っていたので、この経験を後輩たちに伝えることや、20歳のころの自分をちゃんと救ってあげることが自分が生かされた理由だなと。そこから急いで国家資格キャリアコンサルタントの資格を取って、今のキャリアを選択しました。
(藤田)その想いが、アスリートをサポートするということにつながっているんですね。
(岡安さん)そうですね。自分はプロになることだけを意識して競技していたので、まさかその夢が挫折するなんて全く考えていなかったんです。なので、怪我した時に大きな絶望感とか喪失感を抱いて、もう何をしていいのかわからない状態に陥ってしまって、そこからメンタル的に立ち直るのにかなり大変な思いをしました。
怪我の治療も簡単ではなく、病院をたらい回しになってしまったりして2年ぐらいブランクがありました。その間にもいろいろなことを考えたのですが、アスリートとしての人生しか考えてなかったので、アスリートを否定された自分が生きていく価値を見出すことができず、落ち込みすぎて感情がなくなっていってしまって、「もう死んじゃってもいいかな」って思ったときもありました。
そんなときに、コーチとして戻ってこないかと声をかけてもらって。僕はもともとアルペンスキーをやりながら障害者のチームもみていたので、そこのコーチが声をかけてくれたんです。それで、僕にも帰る世界があるんだと思って、そこからコーチに専念しました。
コーチとして戻ると、そういう挫折感を経験していたことで、後輩たちが相談に来てくれる機会も結構ありました。しかし、会社員になってなかなか対応できなくなってしまって、チームからはフェードアウトしてしまったんですけれど、それでも僕を頼ってくれる人たちもいましたね。
自分が挫折してからもう30年経つんですけれども、30年経ってもアスリートのメンタルケアの部分はほぼ進歩していないと思います。それならば、僕と同じような思いをしたアスリートたちのケアを、僕一人でもやっていきたいとの想いで今に至ります。
「強いアスリートとしての自分」と「本当の自分」
(藤田)そういった活動の中で、今アスリートに対して持っている課題感はどのようなものでしょうか?
(岡安さん)アスリート自身やコーチ、チームスタッフなどが、「メダル取ってなんぼ」だと勝利至上主義に走ってしまうところが課題に感じています。もちろんメダルを目指すことを否定するわけではないんですが、メダルを取った/取れなかったあとや引退したあとのビジョンがない選手が圧倒的に多い。
この競技の先に何があるか、スポーツ以外にももっと違う夢があったんじゃないかということも考えながら競技に集中することが、アスリートには必要と考えています。
(藤田)アスリートの引退後の課題ですね。今まさに頑張っている方々の課題感はいかがですか?
(岡安さん)日本文化の悪いところで、トップになるほど弱音が吐けなくなってしまう人が比較的多いと感じています。
マスコミで「強いXX選手」などと騒がれたりすると、そのイメージが世の中に浸透してしまって、「強くなければならない」と思い込んでしまうんです。そうすると、競技以外のプライベートの時間でも、「強いアスリートとしての自分」を背負ってしまって、本当の自分との乖離が大きくなってしまう。そこに悩みを持たれている方は多いです。
選手としてのイメージは、自分を活かしていくためにも大切であったりするので、それはそれで大事にしてもらいたいんですけど、オンオフを切り替えた時に素の自分を出せるようにしてあげたいと思って関わっています。
なぜスポーツ界にメンタルケアが普及しないのか?
(藤田)そういった活動の中で弊社の応援プロジェクトにご賛同いただいて感謝しています。岡安さんから見て応援プロジェクトはいかがですか?
(岡安さん)素晴らしいです。僕がずっとやりたかったことのひとつです。アスリートに限らず一般の方もそうでしょうけど、カウンセリングにお金を払うっていう感覚はあまりないですよね。そのうえ、アスリートは世間が思うほどお金を持っていないので、相談をする機会を得ることができなくて、どんどん引きこもっていってしまうんです。
僕もアスリートを経験しているので、その現状はよくわかっていて、アスリートからはカウンセリング料を取りづらくて。アスリートに負担をかけずにカウンセリングを提供するためにスポンサーを見つけようと動いていたのですが、なかなか理解が得られなくて機会がなかったんです。そんなときに藤田さんからこのプロジェクトのお話をいただいて、本当に感謝しているんです。
(藤田)こちらこそありがとうございます。アスリートにとって、カウンセリングとかコーチングはすごく有効に作用すると思ってるんですけども、こういう考え方は選手たちにはあまり普及していないんでしょうか?
(岡安さん)普及していないですね。そもそもカウンセリングしてくれる人たちが周りにいないですし、いたとしてもコーチやチームの意向でカウンセラーを受け入れてくれないこともあります。チームとしてメンタルケアを推進することは欧米では当たり前なんですけど、日本はその文化がなくてなかなか普及していかない。そのうえ、そういうコーチやチームから教育を受けているので、選手たちも「自分たちで解決しなきゃいけない」「弱音を言ってはいけない」「一番でなきゃいけない」という思い込みを植え付けられているんです。
(藤田)なるほど。僕はSmart相談室を通して、アスリートに限らず相談することの大切さを世に広めていきたいと考えているんですが、相談することのメリットを理解すればお金をかける価値があると思ってくれると思うんですよね。
アスリートの支援が100%できるわけではないけれど、相談をする機会は提供できるので、岡安さんを通じて浸透していけばいいなと思います。
(岡安さん)そうですね。トップアスリートになるほどメンタルは重要になってくるので、その部分はサポートしつつ、アスリート自身にメンタルケアの必要性を発信してもらいたいと考えています。実際、今僕がサポートしているメンバーはパフォーマンスもあがって成績も伸びていますし、トップアスリートは後輩やコーチへの影響力も大きいので、重要性を伝えていくうえでキーマンになると思います。
モヤモヤの解消がパフォーマンスの向上につながる
(藤田)今プロジェクトに参加いただいているアスリートは、Smart相談室をどのようにご活用いただいていますか?
(岡安さん)自分が相談を受けている選手でいうと、競技の相談ではなく、プライベートの相談が多いです。あとは、現役選手がその先どうしていきたいかというところを僕が掘り下げていったり。
競技の部分はちゃんとコーチもついていますし、技術面は答えられないので、相談内容はなんでもいいんです。「どうすればリラックスできるか」とか、「モチベーションを上げるために何をすればいいか」とか、はたまた「子どもとどういう遊び方すればいいか」とか「奥さんの機嫌をどうやってとったらいいか」とか(笑)
そうやってモヤモヤしていることを相談して、オフがきちんととれることで、モチベーションやパフォーマンスは確実に上がっていきます。そこをバックアップしています。
(藤田)今後の展望やSmart相談室にのぞむことはありますか?
(岡安さん)今はプロジェクトとして支援していますが、今後個人で使いたいアスリートにもSmart相談室を提供できる体制を整えたり、チームに働きかけてチームとしてSmart相談室を使えるようにしてもらったりして、間口を広げていくことが重要と考えています。間口が広がることで救える選手はきっとたくさんいると思うんですよね。いい形を一緒に探っていけるといいなと思います。
(藤田)ぜひ一緒に探っていきましょう。これからもよろしくお願いします!今日はありがとうございました!
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