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【カミナシ】カルチャービルダー?!PMV/VMV・行動指針の浸透のさせ方の秘訣をセルソースさんと根掘り葉掘り聞いてみた。

こんにちは、Smart相談室 Corporateのまゆこです。
今回は再生医療関連事業のセルソースさん、そして現場向けSaaS事業のカミナシさんとの「コラボ記事」をお送りします。

お互いに気になることをインタビューし合うこの企画、私はカミナシの松岡さんに「PMV/VMV・行動指針の浸透のさせ方の秘訣」について、根掘り葉掘り伺いました。 実は松岡さんとは元々ちょっとした顔見知り。リラックスした雰囲気の中、普段は聞けないところまで踏み込んでインタビューさせていただきました。

このテーマを選んだ理由は、2つあります。1つ目は、カミナシさんのこの全社イベントの記事を見た時に「なんて素敵な取り組みをされているのだ。」と感激したこと。2つ目は、現在Smart相談室はVMVが策定され、先月末に行動規範が決定し、いよいよ組織文化を形成していくフェーズであるということです。
従業員数約90名という、私たちの数歩先をいくカミナシさんに具体的な施策を伺い、目から鱗状態になりました。組織文化や理念浸透をこれから行っていく人事の方、ぜひ最後までご一読ください!



松岡 広樹|Hiroki Matsuoka
カミナシ HR マネージャー
大学を卒業後、2010年に関西テレビ放送株式会社に入社。人事部で新卒採用を担当し、人事の魅力に気づく。人事としてさらなる挑戦機会を求め2012年にグリー株式会社に入社。5年間の在籍期間で採用、HRBP、評価・報酬、海外人事などを幅広く経験。その後、友人の紹介で2017年にSupeship holdings株式会社に入社し、人事責任者をつとめる。2023年、カミナシに入社。「事業の健全な成長を人・組織を通して実現する」がキャリアのテーマ。

カミナシさんの組織状況とMVVについて、教えてください!

――まずは、最近の組織の状態について教えてください。

松岡:年に1回出資元のファンドによる組織診断サーベイを行っていて今年の夏の速報がちょうど先日上がってきました。そこで、「この会社のカルチャーが好きである」という質問項目に対するYESの回答が98%だったんですよね。実は昨年は95%だったので更に上がってました。メンバーは増えているので、普通に考えたら薄まるリスクがある中で強くなっている中でのこのスコアなので、今のところカルチャーの浸透は比較的うまくいっているのかなと思っています。

――98%ってすごいですね!!(驚)改めて松岡さんが考えるPMVやMVVの意義とはなんでしょうか?

松岡:そうですね、結構大きい話ですよね。やはり、パーパス(P)&ミッション(M)とバリュー(V)、もしくはミッション(M)&ビジョン(V)とバリュー(V)で塊が大きく2つに別れると理解しています。ミッションやビジョンというのは最終的な方向性を示し、目指すものであると考えてます。
それは会社の存在意義にも繋がり、どういう社会にしたいか、またはメンバーが自分の人生を投資する価値があるものと感じられるかによって、当事者意識とか共感みたいなものが生まれるという意味で価値があるものだと思います。そして、それを自分の仕事と結びつけることで、腹落ちやコミットメントが生まれるのではないかと考えます。
次にバリューは、そこに向かう最短距離で走れる行動という意味で考えることもできますが、個人的にはコミュニケーションコストを下げるメリットが大きいと思っています。例えば、一つの事象に対して善しとするか悪しとするかの基準にバリューがなるため、コミュニケーションに迷いがなくなっていくのがメリットとして大きいと感じてます。

――カミナシ社でのMVVの制定はいつ頃でした?

松岡:ミッションは会社がピボットの末、今の事業に確信を持て始めたあたりの時期、2020年頃に役員陣が議論して作ったんですよね。バリューは少しあとに作ったのですが、1回失敗してそのあと作り直したんです
*その時のnoteがこちら 

その時の話が私は結構好きなんですよね。ちなみに直近までビジョンはなく、2022年にバリューのアップデートとともにビジョンも策定し、このタイミングでMVVが揃いました。

まず、バリューは、「こうありたい!」とTo Be的なものを描くバリューと、今の自分たちが自然と息を吸うようにできているようなAs Isっぽいバリューの2種類があると思っていて、カミナシは最初全部とTo Beで作ったんですよ。こうあるべき、こうありたい・・・。そうすると自分たちがやっていることとかけ離れているんですよね。ギャップがあってしんどくてうまくはまらなかったというのを経験しています。

そのあと、そのあと今の自分たちができてることの中で素敵なことはなんだろうと考え、例えばお客さまに会いにいくことが好きだから「現場ドリブン」や自分立ちのことを弱みも含めオープンにできているということで「全開オープン」という風に作りなおしたんです。そうなってからは、自分たちができていることに近いので、自然と使われるし浸透しやすくなったというのがありました。

これはバリューを作る時の注意事項として思っていて、要素によって濃淡はありますがバリューがミッションを成し遂げるためにあるのだとしたら、少しストレッチ感のある要素を混ぜ込みながら、とは言え実態とかけ離れたものは作らないのが、スピードを加速させる秘訣なのかと思います。

カミナシのバリュー

松岡:   実は「外向きベクトル」と「自分リノベーション」の2つのバリューは後から増やしたんです。よりミッション、ビジョンに向かうためにこれからもっと求められる資質や行動の指針はなんなんだろうということを考え、既存バリューのディスクリプションもアップデートしつつ、新たに2つのバリューも付け足しました

失敗からの再チャレンジ。大切なのは経営陣がそこに対して理解があってコミットする覚悟。

――1回失敗をして、もう1回というのは結構大変だと思うのですが、何をもって失敗としたんですか?

松岡:使われなかったんでしょうね。いいバリューは日常で出てくるものだと思っていて、メルカリさんの「Go Bold」や、(厳密にはバリューではありませんが)LayerXさんの「NoじゃなきゃGo」など、自分たちがトライする時のキーワードとして使われている印象がなかった時に、バリューが機能していないという判断になったんですよね。

――再度、作る時はどうやって進めたんですか?

松岡:その時のnoteがこちらです。
以下がポイントだったと考えています。
・要素をみんなで抽出していった
・「こうあるべき」という頭でっかちではなく発想の起点を変えた
・「ワーディング」と「デザイン」にこだわりきった
とくに3つ目は重要です。自分たちで要素を抽出することはできても、それを徹底的に磨き込むことは、やはりプロの力が必要なんですよね。そこで、パートナーにコンセプトメイキングからワードへ落とし込むところまで一緒に立ち会っていただき作り込みまでやっていただきました。

――グッズなども、かなりこだわっていますよね?

松岡:そうです。あれも社内にコミュニケーションデザイナーがいて、作っているんですよね。私たちは社内外に対してデザインの力でレバレッジを効かせていきましょうという考えを持っていて、そういう専任の方に早い段階から参画いただいていました。
実際、現在コミュニケーションデザイン業務もウェイティングリストが大変なことになっていて、大人気です。デザイナー全体でも社員が90名中8名はデザイナーという組織なので、まさにデザインの力で伝え切るということは大事にされている価値観です。

細田:実は私たちとPMVの作り方もとても近いなと思ってます。ワーディングについても、外部の方に作成に協力してもらいました。

松岡:そうした方が絶対良いですよね。実感としてそういう経験をしていない人はその価値に値段をつけられないから、結構高く見えたりするんですよ。でもそれは先々まで使えるので必要な投資だと思います。その際に社内でディレクションする人が1人いるとうまくいきやすいですね。あと大切なのが経営陣がそこに対して理解があってコミットする覚悟があるかどうかです。そこが成功するか失敗するかの分かれ道で、何よりも大事だと思っているんですよね。

また、MVVがどう使われてその人たちの何になるのかという目的意識がないと、途中で手段が目的化していくことがありますよね。カミナシにとってはミッションは辛い時に踏ん張る最後のつっかえ棒、且つ、心に火を灯すものであるという共通認識があるので、その前提に立って突き詰めていけば磨かれていくと思いますね!

浸透のポイントは「マーケティング思考」と「火の起こしどころ」

――実は私たちは先日、行動規範が決まったばかりなんです。ここからどうやって浸透させていくかを考えているのですが、どのようにされましたか?

松岡マーケティングと同じステップに沿って考えるのが個人的には良いと思ってます。まずは、認知していること。そのあとに文脈も含めて理解をしていること。その上で、共感していること。その次に自分に置き換えると何をするのかが具体的な行動としてイメージできること。最後に実行すること。そのステップを踏むときに集団の状態がどうなっていて、どこからどこに進めるための施策なのかを明確にすることが大事だと思ってます。

例えば、まだ理解をできていないのにも関わらず、共感を求めてしまうと暖簾に腕押しのようにアベコベな状態が発生するので、ステップを分解していったときにどの施策が良いのかを考えるのが、これまでの経験で意味があったかなと感じてます。

あとは、カルチャーは自分たちのためにあると思っているんです。これは個人の考えも入りますが、人事が主導しすぎないのも大事ですよね。浸透させる側、させられる側と分かれるのではなく、本来はメンバーが自主的に浸透させ、そのメンバーたちがメリットを享受する。そういう関係性を崩さないのが大事ですよね。人事は黒子としてアクションはするが、実行は現場メンバーや経営陣がするなど、そういう表に出るものと裏側の意図などの設計をしています。

細田:浸透させる側、させられる側と分かれるとどうしてもそのアクが出ますよね。初期のアテンションの時期は仕方ないですが、ファネルが変わってきたタイミングで徐々に変化していかないといけないと思います。とても松岡さんのお話が刺さりました!

松岡:そうです!さきほどのセルソースさんのサーベイのお話で、「つながり」の可視化をされているのがまさにそれで、そのつながりの多い、いわゆる「カルチャービルダー」を起点に火を起こすというのはあるのかなと思います。Slackでemojiが多かったり、レスが早い人(笑)。そういう人と一緒にやっていくのが良いですよね。

ミッション・ビジョンと自身の価値観を重ねる

――先日のnoteで全社員が集まるミーティングで「ミッション、ビジョンを自分ごと化する」というコンセプトでワークを行っているのを拝見しました。とても興味津々で、どんなことをやったのか、裏話も教えていただけますか?

松岡:あれは私の中でスマッシュヒットでしたね!*記事はこちらから
せっかくなので記事で書いてないところをお伝えしますね。今回はミッション・ビジョンと自分たちの繋がりを考えるというテーマで行いました。

実際に私たちはtoBのサービスを提供しているため、自分たちが元々ユーザーとしての体験があるわけではなく、最初からミッションにバリバリ共感してる人はそんなに多くないんですよね。どちらかというと「なんとなく良さそう」という人が、入社してからカミナシのミッション、ビジョンと自分の価値観との重なりを探しにいけば良いよね、という考えでいるんです。そして、そのための補助輪をいくつかステップとして用意していて、解像度を高めるようにしています。

今回のミーティングでは、ステップ1として代表の諸岡からミッション、ビジョンの背景を含めて話をしてもらいました。本人には「また?」と言われましたが、もう何度でも何度でも耳にタコができるくらい言ってくださいとお伝えしています。また、ミッションを語るときは未来の話しになりやすいのですが、なぜその未来を描いたのかという過去の出来事や価値観も伝え、ストーリーとして文脈を伝えるようにお願いしました。

諸岡本人からしたら自分が体験してきたことですし何度も話をしているので目新しさのないストーリーですが、直近で入社したメンバーも多い中で、彼ら彼女らにカミナシのこれまでの歴史を追体験してもうことが、この後のワークの足場になると考えたんです。

ステップ2では、役員であるCTOやCOOの対談を設けています。実は彼らも入社してからミッションへの共感が高まっていることがあり、その役員たちがどうやってミッションを自分ゴト化していったかというプロセスを対談で明らかにしていったんです。この対談の狙いとしては2つあり、1つめは社員心理的ハードルを下げることでした。ミッションに対する「共感していて当然だよね?」というようなマッチョイズムではなく、あれだけ役割が大きい人であっても少しずつ重なりを作っていった、という事実がハードルを下げる結果につながると思います。

2つめは、この後メンバーそれぞれが、対談と同じテーマ・流れで自身とミッション、ビジョンを考えていく上でのサンプルにしていくということです。COO、CTOそれぞれがどうやって価値観を結びつけていったのかを知ることで、自分自身のそれを考える上でのガイドラインを得られると考えました。

ステップ3で、自分の価値観を知るためのワークをやりました。自分を突き動かすような、大切にしている価値観(なんでもいい)をキーワードで書いてもらい、まずは自己理解を深めていきました。

その後グループ内でシェアし、質問し合うことで更に自己理解を深めながら、最後には自身の価値観とミッションが自然に重なるところを考え、それを1文で表現する、という内容で実施しました。

ワーク終了後には、個別に「よかったです!!」と感想を言いに来てくれる人もいて、非常に満足度が高かったです。実施後のアンケートでも、5点満点中4.9や4.8などの高いスコアになっていましたね。

編集後記

松岡さんから繰り出されるひとつ一つのワードは、常日頃組織を深く考え、それを口に出しているからこその言葉が多いと感じました。それは、客観的に組織の状況を捉え、より前進させるための次なる戦略を打ち手として出す。まさに戦略家そのものではないでしょうか。

人事は昨今HRBPと呼ばれますが、それを体現する素晴らしい人事だと心から感心し、改めて人事そのものや組織開発の奥深さを噛み締める機会となりました。

インタビューは実はもっともっと続き、とてもじゃないですがまとめられないほどの内容になりました!カミナシさんの、失敗を率直に認めてから再チャレンジした姿勢や、人事主導ではなくメンバーが自ら実行する仕組み作りなど、とても大切なインプットをいただきました。特にワークは、早速実践してみたいと思います!

今回、対談をしたセルソースの細田さん、カミナシの松岡さん。そして企画に携わっていただいたセルソースの黒田さん、笹川さん、カミナシの井上さん。この場を借りて御礼を申し上げます。本当にありがとうございました!

コラボ記事

本日、もう2つのコラボ記事がSmart相談室さん、カミナシさんのページでリリースされています。是非そちらもご覧ください!

■セルソースさん→Smart相談室
【Smart相談室】noteを軸にした採用活動で、採用フィー0円を実現。noteを自走させる秘訣をカミナシさんと聞いてみた。

■カミナシさん→セルソースさん
100人の壁をどうやって乗り越えた?パルスサーベイを駆使した組織改善の秘訣をセルソースさんに聞いてみた。

セルソース 細田さん/Smart相談室 三浦/カミナシ 松岡さん

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