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支援の専門家、プロセスの専門家としての「マインドフルコーチング®」 〜Mindfulness Based Coach Camp®︎ | MBCC®️〜

 こんにちは!Smart相談室CEOの藤田です。
この記事は連載企画「『コーチングとはなにか?』ICF認定スクールに聞いてみた」の一環として、エムビーシーシー合同会社代表社員の吉田典生さんにインタビュー取材させていただいた内容をまとめたものです。

エムビーシーシー合同会社のロゴ

何か大きな一つのテーマを追いかけたくなった

(藤田)吉田さん、今日はよろしくお願いします!まずは自己紹介いただいてもいいですか?

(吉田さん)はい、吉田典生(よしだてんせい)と申します。
私は、30代半ばまで、メディア関連の仕事に従事していました。具体的には、人事部の方や経営者の方をインタビューして記事にしたり、作ったコンテンツを活用していただきながら、良い組織を創るお手伝いをしていました。いわゆる編集記者ですね。

メディア作りは好きで、本も書きました。今でも好きなんです。そのお仕事をしながら、取材対象として出会った「求心力のあるリーダー」や「面白い仕掛けを成功させている企業」などに惹かれていきました。

同時に、一つの想いをメディアという形にし、それができたら次のメディアを作るという働き方が自転車操業のように感じられるようになって、そういう働き方よりも、何か大きな一つのテーマを追いかけたくなったんです。

 その時に自分の興味と紐づけていくと、リーダーの在り方や、人と組織の関係性、働き方や生き方、一人一人の能力が解き放たれる条件などをテーマにしようと思いました。自分の中でそういったものへの想いが強くなってきて、30代半ばぐらいまで自分で何かやりたいと思い、その時に出会ったのがコーチングでした。1999年くらいの話ですね。当時、日本で始まったばかりのコーチ育成のプログラムに参加して、面白いって思いましたね。コーチングの資格も取りました。

その時は、本業でコーチングに携わるイメージはなかったんですが、環境やご縁もあって、コーチングが本業になっていきました。その際、すぐに法人化もしました。法人化する必要はなかったんですが、クライアント企業さまから法人格を求められることが多かったので法人化したのが当時の正直な事情ですね。

その後また別の組織を共同設立することになり、2つの会社の経営に携わりました。そこから事業を一本化したのがエムビーシーシー合同会社(以下、MBCC)です。MBCCはコーチングスクール事業が一つの柱であり私は経営責任を負う立場ですが、自分の源は一介のコーチだと思っています。

マインドフルネスとの出会い

(藤田)貴社の社名の中に、「マインドフルネス」と入ります。マインドフルネスと何か関係があるのでしょうか?

(吉田さん)関係あります。それは、マインドフルネスとは何かを理解するところから始まると思いますが、その前にこの言葉を使おうが使うまいが、コーチングの実践者にマインドフルネスという在り方、状態は不可欠だと考えています。私が出会ってきた本物だと思うコーチは、マインドフルネスという言葉を用いていなくても、マインドフルネスを体現する人たちばかりです。

 ではマインドフルネスは何かというと、自己や今ここにある日常、あるいは世界を自明のものとせず、少し距離を置いて認知する姿勢だと思っています。それを明晰さとか、十分な気づきのある状態といったように説明することが多いです。

コーチは、いわゆるコーチングスキルを使って他者に働きかける前に、自分がいまどんな状態でここにいるか、相手との関係性やともにいる場がどんなものであるかをメタ認知し、相手(クライアント)のために最適化しつづける自己管理力が必要です。その意味でマインドフルネスはコーチングの基盤となります。

「マインドフルコーチング®」の誕生

(藤田)はじめから「コーチング」と「マインドフルネス」は融合されていたのでしょうか?

(吉田さん)融合されてないですね。最初は個人的に伝えたり、マインドフルネスとして切り離して学ぶ機会を作ることが主でした。

(藤田)どこのタイミングで統合していくんですか?

(吉田さん)冒頭に少し触れた、私が設立に参画した別の組織が、米国のグーグル本社で開発されたマインドフルネスを取り入れたリーダーシップコースを、日本で展開していくことになったのです。それは神経科学の観点からマインドフルネスや瞑想の研究データが蓄積されてきたことを受けてのものでした。主にエンジニアを対象にした学習にマインドフルネスが取り入れられていることに刺激を受け、もっとしっかりとコーチングに統合していこうと思ったのがきっかけです。

(藤田)確認ですが、この段階ではスクールの話が出てきていませんが、吉田さんがコーチングをする中で、マインドフルネスを統合し始めた、ということですよね?

(吉田さん)もともと私自身は、クライアントとの間でマインドフルネスを暗黙のうちに取り入れていた、というのが実際のところです。もともと瞑想は20代の頃から実践していましたので。ただ意図せずスクール事業の構想が広がってきたのと、グーグル発のマインドフルネスを伝える機会が重なったことが一つの契機になりました。

このままではコーチングが社会に残らないのでは?という問題意識からスクールに

(藤田)そこに大きな転機があったのですね。

(吉田さん)じつは本格的な転機となる前に、小規模なコーチングの学習会を始めたんです。それが私にとっては意外だったのは、既にコーチという肩書で仕事をしている人や、なかには「コーチングスクール」の看板を掲げて指導している人が集まってきたことです。

(藤田)いったい何が起きていたのですか。

(吉田さん)非常に薄っぺらくコーチングが理解されていることに驚きました。それまで私は企業の現場でクライアントへのコーチングをしてきたので、コーチングスクールがどうなっているか、どんな学びが展開されているのかといった状況がわからなかった。直感的に思ったのは、このままではコーチングは社会に残らないなあ、ということです。

この問題意識を持ち始めたのが2013年くらいですね。そこからは、スクールとしての組織化を進めるフェーズに入りました。プログラムの設計、バックオフィス機能の拡充、マネジメント業務への工数配分など、いわゆる組織が大きくなる際に必要な要素を一つひとつクリアしていきました。その過程で、複数の事業組織を整理しながら、法人としての型を整えました。最終的には、スクール運営の事業がMBCCとして分社化して今に至ります。

マインドフルネスで「支援の専門家」であり続ける

(藤田)あらためて「マインドフルコーチング®」について教えてください。

(吉田さん)繰り返しになりますが、私たちが「マインドフルコーチング®」と言っているのは、素晴らしいなぁ、と思うコーチの在り方や実践からきています。よくコーチとしての「在り方」「Being」と呼ばれますが、まずはその部分が整っていることを「マインドフルネス」な状態と簡単に考えてもいいでしょう。

コーチが「対人支援の専門家」であるために欠かせないのは、コーチングが万能ではないこと、自分が万能ではないことに気づいていることだと思います。もちろん私自身も含めて、コーチは人間がそうであるのと同様に不完全な存在です。コーチングで繰り広げられる刺激的な対話においては、相手やお互いを取り巻く環境から影響を受けます。常に荒波をクライアントと一緒に航海しているようなものです。そのことに気づき、自己管理していくためにマインドフルネスは欠かせません。

「プロセスの専門家」としてのコーチ

(藤田)コーチングをどのように定義していますか?

(吉田さん)我々は国際コーチング連盟(以下、ICF)の承認を受けたスクールですから、まずICFの定義を共有し、お伝えすることが前提です。

 ただコーチングとは何かを伝えるということは、どういう文脈でどういう相手に伝えるかによって表現を吟味する必要があります。専門家の養成を念頭に置いたICFの定義を世間一般に広げて理解してもらうことが、常に必要ということではないと私は考えています。

それよりは実際に行っていく大事なことという意味で、コーチングはクライアントが自分で自分を何とかしていく道程を支援する関わり方であり、コーチは状況と目的によって変わるその方法を最適化していく「プロセスの専門家」だとお伝えしています。

MBCCのHPから抜粋

MBCCでは、「プロセスの専門家」になれるように、マインドフルネスとコーチングについて学び「マインドフルコーチング®」を体得していくカリキュラムを用意しています。

MBCCのHPから抜粋

コーチングのメリットを出す設計が大切

(藤田)企業さんがコーチングを企業に導入する際の注意点はありますか?

(吉田さん)組織というのは複雑なシステムだと考えています。ですから単純に社内の誰をコーチングすればよい、ということではなく、コーチングをシステミックにとらえて組織に適応させていく知見が必要になります。1on1のコーチングが重要な一つの核になることに変わりはないですが、組織マネジメントの中でツールとしてコーチングを活用していくイメージを持つことも不可欠。結果としてそれが個人の成長を組織の成長に繋げる原動力にもなっていくと思います。

(藤田)組織に影響を与えるという視点は大切だと思います。

(吉田さん)従来のコーチングは主として対個人に焦点を当てていましたが、現在はチームや組織、さらには社会へと対象領域が広がりつつあります。日本のコーチングがガラパゴス化しないように、こういった潮流にアンテナを張って私たち自身が学び、探求しつづけるビギナーズマインドを大切にしたいです。

インタビュイー紹介

エムビーシーシー合同会社 代表社員 吉田典生さん

吉田 典生(よしだ てんせい)
エムビーシーシー合同会社 代表社員
 

■ 経歴
ビジネス誌、経営専門誌の編集記者を経て2000年よりコーチとして活動。企業経営層を対象とするエグゼクティブコーチング、関係構築にもとづいて組織と個人のパフォーマンスを開発するチームコーチング、コーチング実践者を育成するトレーニング、組織コミュニケーション開発に従事。気候問題に取り組むコーチの国際コミュニティである Climate Coaching Allianceの日本チーム共同代表。ビジネスブレークスルー大学院と関西大学梅田キャンパスで、リーダーシップ講座、エモーショナルインテリジェンス講座の講師を務める。ベストセラー『なぜ「できる人」は「できる人」を育てられないのか?』、『「できる部下」を育てるコーチングノート』(いずれも日本実業出版社)など 20 冊以上の著作がある。
■ 資格
MBCC®ファウンダー/最高経営責任者/シニアコーチ/シニアトレーナー
MCC(国際コーチング連盟マスター認定コーチ)
EMCC(欧州メンタリング&コーチング評議会)EIA Senior Practitioner

MBCC®について

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 MBCC®は、世界でも数少ないマインドフルネスとコーチングを統合した、マインドフルコーチング®を基盤にしたコーチングの実践者を育成し、継続して学び続けるためのコミュニティです。Coaching Mind, Begginer’s Mindを合言葉に、これからコーチングを学ぼうとする人、プロコーチとして活動する人、会社の組織文化にコーチングを取り入れたい人が、それぞれに学びたい内容・段階に合わせた学習プログラムを提供しています。

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