人と話すことが心の整理になる 〜3x3プロバスケチーム代表兼選手 神﨑颯大さん特別インタビュー〜
こんにちは!Smart相談室ライターの佐藤です。
今回は、「アスリート応援プロジェクト」でサポートしている3人制プロバスケットボールチーム「EBINA Liberty」代表兼選手の神﨑颯大さんと、プロジェクトにご協力いただいているSmart相談室カウンセラーの岡安一正さんに、アスリートのキャリアとメンタルヘルスについてお話を伺いました。
*アスリート応援プロジェクトとは
頑張る人たちをSmart相談室によってサポートしたいとの想いから発足したプロジェクト。 特に、日本スポーツ界が課題として抱えている、現役アスリートのメンタルヘルス対策やキャリア支援、引退アスリートのセカンドキャリア支援を、カウンセリングを通して積極的に推進する新しい取り組みです。支援アスリートに対して「Smart相談室」のカウンセラー相談を無償で提供しています。
発足の想いは以下で語っています。
会社員・プロバスケチーム代表・選手の三足のわらじ
(佐藤)神﨑さん、今日はよろしくお願いします!まずは自己紹介をお願いできますか?
(神﨑さん)神﨑颯大と申します。神奈川県の桐光学園のバスケットボール部から中央大学を経て、2022年から3人制バスケットボールチームの相模原プロセスに所属、2023年にEBINA Libertyを立ち上げ代表兼選手として活動しています。よろしくお願いいたします!
(佐藤)プロバスケチームを立ち上げ、代表兼選手を務めるというのは、とてもユニークなキャリアですよね。バスケットボール歴は長いんですか?
(神﨑さん)小学校2年生のときに、幼馴染の影響で地元のバスケットボールクラブに入りました。なんとなくスポーツできる人がかっこいいなと思うようになっていた時期で、ユニフォームが汚れにくい屋内スポーツだったことも理由です(笑)
(佐藤)15年以上バスケットボールに向き合ってきたんですね。現在はチームの代表・選手だけではなく、会社員もされているんですよね。
(神﨑さん)はい、今の勤め先に就職して約半年でEBINA Libertyを立ち上げました。会社の理解もいただきながら、チーム運営やトレーニングを行っています。実はこの会社に入社したきっかけの一つが岡安さんなんです。
相模原プロセス所属時には選手兼スポンサー営業として働いていて、その一環で参加した交流会で岡安さんと初めてお会いしました。交流会から定期的に食事会などご一緒するようになっていまして、転職活動をしていると相談したところ共通の知人を介して今の勤め先をご紹介いただいたんです。
(佐藤)そんなご縁があったんですね!
(神﨑さん)あの交流会で岡安さんにお会いしなかったら今の私はいませんし、私は岡安さんに救ってもらった人生だと思ってます。大切なご縁ですね。
(佐藤)幼いころからバスケットボールに親しんできたとはいえ、プロチームを立ち上げるのはとてもエネルギーが必要なことだと思います。
(神﨑さん)現在務めている会社の影響が大きいと思います。個人の活躍を推奨してくれる風土があり、顧客との共同事業や社内起業などが奨励されています。そのような環境で刺激を受け続け自然と新たな挑戦に足が動き、今に至るという感じです。
EBINA Libertyが拠点としている海老名はサービスエリアが有名なのですが、それってどこかに行くときの通過点ということでもあるんです。私は「地元・海老名を盛り上げたい!」という想いから、地元・海老名に行く目的となるようなコンテンツが必要だと考えています。
3人制バスケであれば必要人数、経費は限定的で、私も選手としてプレーできます。いくつかのハードルをクリアすれば自分にもできるなと思ったんです。以前所属していた相模原プロセスの代表が地元の先輩で近しい間柄だったので、バスケチームを立ち上げ、運営するイメージをしやすかったことも大きいです。
バスケ、勉強、営業 挑戦の連続
(佐藤)これまでの活動がクラブの立ち上げにつながったんですね。
(神﨑さん)そうですね、プレイヤーとしてもそうですし、地元・海老名で築いてきた人間関係や学生、社会人で経験してきたすべてがEBINA Libertyにつながっていると感じています。
(佐藤)高校ではバスケ強豪校に入学され、今でもプロとして活躍されています。バスケは元々お上手でしたか?
(神﨑さん)全くそんなことはなかったです。小学生の頃から背は高い方でしたが、特に秀でた能力があるわけではなく、人一倍練習することで実力をつけてきました。中学生の部活では地区大会で優勝するなど一定の成績を収めることができましたが、桐光学園へはスポーツ推薦ではなく一般入試での入学でした。
桐光学園はバスケだけでなく、勉強も高いレベルを要求される学校です。入学直後は部活の先輩や推薦入試組に圧倒され、勉強面でも学年最下位に近い成績を取ってしまうなど、実力不足を突きつけられとても苦労しました。
(佐藤)どうやって困難を乗り越えたんですか?
(神﨑さん)要領の良い方ではないので、とにかく時間をかけました。バスケに関しては、誰よりも早く体育館に行ってストレッチや筋力トレーニングなどを行い、練習後はシューティングの自主トレを最後まで残って行いました。勉強では始発の電車で通学し、移動中の電車内も含め朝練習の前まで自習、練習が終わったあとも夜遅くまで勉強していました。
そのおかげで3年生のときには部活ではスタメンを勝ち取り、全国ベスト8まで勝ち進むことができ、勉強では大学進学の推薦を得られるレベルの成績を取ることができるようになっていました。当時とりつかれたように部活に勉強に全力を尽くしており、今それができるかはわかりません(笑)
(佐藤)高校入学で同時に2つの大きな壁に直面し、努力で乗り越えたんですね。大学では体育会バスケ部には入部しなかったんですよね。それはなぜですか?
(神﨑さん)これまでバスケ中心の生活だったため、「バスケ引退後、自分になにも残らないのでは」と危機感を感じたためです。セカンドキャリアはどのスポーツでも問題視されることが多いですよね。自分がプロになれるかわからないし、なれたとしてもセカンドキャリアはついてまわるという問題です。早めに準備をしておこうと思ったんです。
そこで、バスケは社会人クラブなどで選手を続けつつ、中学のバスケクラブのコーチや、学生起業された先輩が立ち上げた会社でのお手伝いなどさせていただき、興味のおもむくまま幅広く学びました。バスケのコーチをすることで、大人数の前で話すことに慣れることができましたし、会社では営業経験を積ませていただきました。
お手伝い程度ながらお仕事をさせていただくなかで、営業の仕事に魅力を感じ、大学卒業後は電力系の営業職に就職しました。営業として鍛えられる環境だと感じたのも就職先として選んだ理由の一つです。実際取り扱うサービスも働く環境もすばらしく、営業職として鍛えていただきました。
(佐藤)高校入学、大学入学、社会人と節目で常に新たな挑戦を求めてきたという印象があります。新卒一社目を退社後「相模原プロセス」という3人制バスケチームに選手として加入したのには、どういったいきさつがあったのですか?
(神﨑さん)相模原プロセスを立ち上げたのが、地元のクラブチームの先輩だったんです。当時所属していた会社は仕事が整然と仕組み化された魅力的な環境ではあったものの、「神﨑だから」と言っていただけるような、良い意味で属人的な仕事をしていきたいなと感じるようになっていました。そんななかその先輩から「颯大、うちで選手とスポンサー営業やってくれない?」とお誘いを受け、「珍しい経験ができる!」と感じ飛び込みました。それが3人制バスケとの出会いです。
(佐藤)本当に次々に新しい経験を追い求めてきたんですね(笑)
人に話すことが一番
(佐藤)とても快活で話していると元気をもらえる神﨑さんですが、心の状態が良くないタイミングなどはあるのでしょうか?
(神﨑さん)私は元々ネガティブな性格なんです。一人の時間も好きですし。バスケも勉強も仕事も人並み以上に努力してきたと自負はありますが、いずれも「失敗したくない」という恐怖を糧にしてきたような気がします。今はそうした負のイメージではなく、より前向きな動機から行動にできているんですが、周囲の方々から良い影響を受け、少しずつ自分が変わってきたからかなと思っています。
(佐藤)今お話ししていると全くネガティブな姿がイメージできませんね...気分が落ち込むときはどのように心を整理していますか?
(神﨑さん)人と話すことで心の整理をしています。会社員としての仕事で接する経営者の方とお話しすることもそうですし、岡安さんのような気心の知れた方とお話しするのもそうです。だれかに相談する、話を聞いてもらうことはそれ自体メンタルに好影響があるものだと実感しています。
また、日常的に多くの方とお話ししいろんな考え方をお聞きすることができているので、久しぶりにお会いする方からは「神﨑くん、また考え方が変わったね」とポジティブな感想をいただくこともあります。
人と話すことは、感情・思考両面での整理につながるので、私にとってとても大切な時間です。
(佐藤)アスリートとして学生から社会人までストイックに活動されてきたことは、現在のご活躍に影響がありますか?
(神﨑さん)「アスリートだからがんばれるのでは」と言われることがあるのですが、自分ではわからないというのが正直なところです(笑)幼い頃からバスケットボールに親しみ、バスケットボールが中心にある生活が自然なので、「アスリートとしての自分」を意識するのが難しくなっているのかもしれません。
(佐藤)神﨑さんはアスリート応援プロジェクトに参加いただいてますが、今後どのように活用していきたいですか?
(神﨑さん)会社員生活やクラブ運営に全く関係のない方とお話しする貴重な機会を得られると思っています。さきほど言った通り、話すこと自体が精神的な安定につながりますし、会話をすることでより新たな考え方を得ることができます。どんな反応が得られるか、自分にどんな変化が起こるかわくわくしますね。
(佐藤)付き合いの長い岡安さんから見て、どのような使い方が良いと思いますか?
(岡安さん)とてもお忙しい方なので、常にいろいろなことを考え、行動されています。こんなことやってますよ、考えてますよなど棚おろしの機会、整理する相手としてアスリート応援プロジェクトを活用していただくとよいのかなと思います。
日本中を元気にする「サーカス」に
(佐藤)EBINA Libertyを立ち上げて1年が経過しました。やりたいことや想いに変化はありますか?
(神﨑さん)「海老名を盛り上げる」というテーマにブレはないです。ただ、3人制バスケ、EBINA Libertyの可能性は思っていたよりも大きいなと感じています。
私たちの特長は、他業種の方々と一緒にイベントやマルシェをかなりの数主催していることです。2024年だけで8回開催したのですが、私たちの規模のクラブでこの数はとても珍しいと思います。これを海老名市内だけでなく、近隣地区、隣接県、その先の全国各地にも広げていきたいと考えています。
多くの人が一緒に作り上げるイベントを全国各地で開催することができれば、日本全国が元気になると思っています。これは設備、機材の持ち運びが楽でスポーツとして華のある3人制バスケのプロチームであり、イベントノウハウを持つEBINA Libertyだからこそできることです。移動式サーカスのようなイメージですね。
(佐藤)すごい!壮大な構想ですね。
(神﨑さん)災害の多い日本だからこそ、ポテンシャルを発揮できるとも考えています。小さなスペースで試合を行うことができるので、現地の人々に喜んでもらう、外から人を呼ぶ、寄付金を集めるなど復興の最初の一歩のお手伝いができると考えています。
もちろん被災地支援は簡単に考えてよいものではなく、支援に踏み込むタイミングなどは十分慎重になる必要があると思います。ただ、観ている人に上を向いてもらう、ポジティブになってもらうというのが私たちが活動する理由です。勝敗にかかわらず、なにかに打ち込むその姿が人に活力を与えることもでき、それが少なからず支えになると思っています。
(佐藤)神﨑さんの大きな夢の実現に向け、アスリート応援プロジェクトも全力で応援しています!本日はありがとうございました!
◼️Smart相談室へのお問い合わせ・取材依頼は以下よりご連絡ください。
・お問い合わせフォーム:https://smart-sou.co.jp/contact
・メールアドレス:pr@smart-sou.co.jp