リーダー開発を通じて、組織変革を実現する 〜株式会社コーチ・エィ〜
こんにちは!Smart相談室CEOの藤田です。
この記事は連載企画「『コーチングとはなにか?』ICF認定スクールに聞いてみた」の一環として、株式会社コーチ・エィの執行役員の片桐多佳子さん、平野圭子さんにインタビュー取材させていただいた内容をまとめたものです。7000字を超える大作です!ぜひお時間のあるときにお読みください。
組織や国を超えて、コーチング文化の醸成に尽力
(藤田)今日はよろしくお願いします!それでは、平野さんから自己紹介をお願いします。
(平野さん)こんにちは。平野圭子と申します。株式会社コーチ・エィ(以下、コーチ・エィ)には、その前身であるコーチ・トゥンティワン設立(1997年10月)1日目から所属しています。ファウンダーである伊藤守と共に数名でまさにはじめの一歩を踏み出し、今に至ります。
コーチ・エィが産声をあげるきっかけとなったのは、1996年のある日に掲載された『Newsweek』のコーチングを紹介した記事です。記事では、アメリカでコーチ・ユニバーシティを設立したトマス・レナード氏のコメントが掲載されていました。興味をもった伊藤の一声で、すぐにトマス氏にメールでコンタクトを取ったところ、彼から「日本に行ってコーチングについてのワークショップをやろうか」という返事が来ました。そのワークショップから始まり、さまざまな支援を受けながら、私たちはコーチングのプログラムをつくりあげ、1997年10月にコーチを養成する「コーチ・トゥエンティワン」を立ち上げたのです。
それから私は、コーチ・ユニバーシティとのコミュニケーション担当として参画し、海外のコーチやコーチ業界とのパイプ役を担ってきたほか、コーチ・トレーニング・プログラムや新システムの開発と制作、および、米国、中国、台湾、南米などの海外コーチの育成に従事してきました。
また、コーチ・エィの取締役、アメリカの国際コーチング連盟(以下、ICF)本部のボードメンバー、日本コーチ協会のボードメンバーも担当したほか、2018年にはICF本部がグローバルで功労者を選出する「ICF Global Circle of Distinction Program」の初代功労者6名のうちの1名に選出していただきました。
(藤田)コーチ・エィや日本を超えて、世界的にコーチング文化の醸成に尽力されたんですね。功労者にご選出されたのもすごいです。
会社の研修として出会ったコーチ・エィ、コーチングに衝撃を受けた
(藤田)片桐さんも自己紹介をお願いします。
(片桐さん)片桐多佳子です。私は、2006年にコーチ・エィに入社しました。前職は株式会社富士総合研究所(現:みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社)というシンクタンクで、システムエンジニアの仕事をしていました。
コーチングとの出会いは、前職で受けたコーチ・エィが提供するコーチングスキルを活用してキャリアビジョンを描く研修でした。そこでコーチ・エィとコーチングに興味を持ち、当時の従業員に声をかけてもらったこともあり、すぐに入社を決意しました。
コーチ・エィ入社後は、エグゼクティブコーチとして200人以上のビジネスリーダーへのコーチングを行ってきたほか、今日お話しする「コーチ・エィ アカデミア」のご案内なども行っています。
(藤田)ご自身がコーチ・エィのプログラムを受けられて、コーチ・エィにご入社されるということは、相当インパクトが大きかったんでしょうね?
(片桐さん)それはそれは相当なインパクトでした。まず「何も教えてくれない」という点が驚きでした。私は「何かを勉強するための研修」に参加する感覚でいたのに、「あなたはどうしたいの?」、「どんな自分をイメージするとわくわくしますか?」みたいなやり取りをずっと1対1でやるんです。「私は何をやりたいのだろう?」、「自分のビジョンは何なんだろう?」と考えさせられましたね。同時に、コーチのコミュニケーション方法に「なんだ、これは?」と衝撃を受けました。
(藤田)それは衝撃ですよね。「コーチ・エィ アカデミア」は、コーチ・エィが提供するコーチングプログラムの名称でしょうか?
(片桐さん)はい。コーチ・エィ アカデミアは、コーチ・エィが提供するさまざまなプログラムのひとつで、1997年の創業以来、最も長く提供しているものです。個人としてお一人からでもお申込みいただける唯一のサービスで、他のサービスは全て、企業の組織開発やリーダー開発のためのコーチングプログラムとなっています。
コーチングは「プロセス」。プロセスの結果、目標が達成される
(藤田)コーチ・エィ アカデミアで定義されているコーチングの定義を教えていただけますか?
(片桐さん)コーチ・エィとしての定義はこうです。
(平野さん)以前は、「コーチングとは知識、スキルツールを備えさせるプロセスである」というのものだったんです。しかしコーチングは、知識やスキルではなく「対話」自体に意味があります。対話のプロセスにより、クライアントの可能性が変化するからです。
ですから、何か達成させるとか、実現させることが目的なのではなく、それを実現するプロセスを経ることが目的であり重要、という意味合いに定義を変えました。
膨大な量の体系的かつ実践的な内容が端的にまとめられたカリキュラムを提供
(藤田)コーチ・エィ アカデミアの特徴はありますか?
(片桐さん)コーチ・エィ アカデミアの特徴は3つあります。
1つ目は、ICF認定のプログラムを提供していて、グローバルレベルのコーチングを前提としている点です。コーチ・エィ アカデミアのプログラムは、2000年以来ICFの認定を受け続けており、その内容はICFのコアコンピテンシーに忠実な内容になっています。平野がICF本部で活動していましたから、ICFの基本方針はコーチ・エィの基盤になっています。
2つ目が、膨大な量の体系的かつ実践的なマニュアルが提供されている点です。コーチ・エィ アカデミアでは、2つのコースを用意しています。
1つは、(一財)生涯学習開発財団認定の資格試験を受けられるリーダー向けコースです。こちらは、20テーマ・合計80回のオンラインクラスと、コーチによる10回のコーチングセッションで構成されています。
もう1つは、(一財)生涯学習開発財団認定の資格試験に加え、ICF認定資格取得に向けたcoachAcademia Level 2 修了認定試験を受験できる、プレミアムコースです。こちらのコースは、30テーマ・合計120回のオンラインクラスと、20回のコーチングセッションで構成されています。
いずれのクラスも、受講生一人ひとりに資格を持ったコーチがつき、参加者の方々の目標達成と学習促進に向けたサポートをしています。オンラインクラスはただの座学ではなく、さまざまな気付きを繰り返しながら、自分自身のリソースを探索して、ご自身の能力を発見できるようになっているのも特徴です。受講生の方から一番評価していただいているのが、この体系的なプログラムですね。
3つ目が、ハイブリッドなコミュニケーションスタイルを採用している点です。忙しいビジネスパーソンでも効果的に学び続けられるよう、平日の朝・昼・晩でクラスを開講しています。お仕事やプライベートのご都合に合わせてクラスを選べるように工夫していますし、電話からでもZoomからでも参加いただけます。
また、少人数制を採っているので、参加者の方々がオープンなコミュニケーションを取れるというメリットがあります。例えば全80回のオンラインクラスのコースの場合、その回数分だけ、さまざまなバックグラウンドをもつ方々と共に学び切磋琢磨できるのは、参加者のみなさんにとっても有益な時間になるのではないでしょうか。
研究機関としての学びをコーチングスクールに反映
(平野さん)我々の特徴、強みということであれば、コーチングに関するリサーチ・研究を専門に行う「コーチング研究所(CRI)」を持っている点も挙げられます。コーチ・エィが長年培ってきた「組織開発に向けたコーチング」に関する豊富な経験とリサーチ実績をもとに、コーチングの可能性を科学的な視点から研究しています。
(藤田)コーチングについて研究を行っているということでしょうか?
(平野さん)はい。例えばコーチング成果のデータを解析したり、組織開発に関する多角的な研究を行ったり、コーチングセッションの評価尺度を開発したりと、さまざまな活動をしています。
この活動は、コーチ・エィ アカデミアのプログラムにも反映されています。例えば、コーチングセッションの中で何が機能しているのかについてエビデンスを取って、この結果に基づいてカリキュラムを改定しています。日々多様な研究が並行して進行しており、その研究結果が随時カリキュラムに反映されます。
(片桐さん)数か月に一回はマニュアルが最新のものに更新されます。これは、コーチング研究所を持っている当社だからこそできることです。
全員が「コーチ」でありながら「組織人」である
(片桐さん)そして、私たちの大きな特徴の一つは、コーチ自身が組織人であるということです。コーチ・エィ アカデミアに参加くださっている多くの方と同じように、コーチである我々も株式会社コーチ・エィの正社員として、組織の中で働いているということです。
(平野さん)それぞれがコーチでありながら、組織の中でそれぞれの役割を持っています。だからこそ、ビジネスパーソンとしての活動、リーダーシップの必要性などに私たち自身が直面したり、理解しているのは大きな強みだと思います。
(片桐さん)コーチであり、ビジネスパーソンですから、さまざまなケースでフィードバックループが回ります。コーチングセッションのこと、それ以外の仕事のことなど、さまざまな内容についてすぐにディスカッションできる、その環境がコーチ・エィの質を向上させています。
コーチングを通じて、リーダー開発を行い、リーダー開発を通じて組織開発を行いたい
(藤田)コーチ・エィ アカデミアとしてコーチを育成される目的は何でしょうか?
(片桐さん)組織に自ら「変化」を引き起こせるリーダーが、さらに次世代のリーダーを開発できるよう、お手伝いしたいという想いです。特にマネジメント層の方々、エクゼクティブ層の方々には、そのような役割が今まさに求められているのではないでしょうか。自ら変化を引き起こせるリーダーが増えることで、組織全体が変わっていくのだと考えています。
(藤田)目的が明確ですね。
(平野さん)そうですね。コーチ・エィ アカデミアは設立当時、ビジネスパーソン以外の方も学ばれていました。ただ、企業にお勤めの方がコーチ・エィ アカデミアを卒業された後、その企業内でコーチングを活用しながら事業を推進された際、その成長が大きかったんですね。さらに、同じ企業にお勤めの他の方がコーチングを学ばれると、さらに成長速度が高まったんです。
その実績から、リーダー開発によって組織開発が加速する、結果として企業の業績に大きな影響を与えられる、ということが明確になってきたんです。今では、多くのビジネスパーソンの方々がこのような実績を評価してくださって、コーチ・エィ アカデミアを選んでくださっているのだと思います。
システミックコーチングで「他者との関わり」を扱う
(片桐さん)リーダー開発を通じた組織開発を考えた際は、システミック・コーチング™ の考え方がポイントになります。
これは、「人は関わりの中に生きている」ということを大前提にしたコーチングなんです。どのプログラムにも共通している概念で、「1人だけが変化するわけではなく、私たちは、周囲との関わりの中で変化していく」という考えです。私たちは他者への関わりを抜きにコーチングすることはないです。必ず「他者との関わり」を扱っていきます。
「人・関係性」と「解決できる人の開発」の2つの領域に貢献
(藤田)企業にコーチングを導入するメリットを教えてください。
(片桐さん)はい、「人・関係性」と「解決できる人の開発」の2つの領域で、コーチングを導入するメリットがあると考えています。
どういうことかというと、例えば経営者は文化を変えたい、組織を変えたいなど、常に何かを変えたいと思っています。変えたいと思った際に、まず着手するのが仕組みや戦略の変更です。ただ、新しい仕組みや戦略が機能するためには、組織の中にいる人たちが動く必要があります。でも、組織の中にいる人たちのコミュニケーションが変わらなければ、新しい仕組みや戦略は機能しないかもしれません。それは、仕事はコミュニケーションで成り立っているからです。
私たちが貢献するのは、このコミュニケーションの領域です。つまり、人の関係性です。コーチングは戦略を構築するというより、作られた戦略を現実的に実践させていく能力を高めていくといったらわかりやすいかもしれません。
また、組織にはいろいろな問題が日々発生しています。コーチングはまた、その問題に対して、「自分こそが解決していくんだ」という主体化されたリーダーシップや、「どんなことが起きたとしても自分がなんとかしていくんだ」というマインドセットを創出していきます。
(藤田)大変貴重なお話でした!ありがとうございました!
インタビュイー紹介
コーチ・エィ アカデミアについて
コーチ・エィ アカデミアは、コーチングスキルだけではなく、コーチングマネジメントがなぜ機能するのか(理論)、具体的な効果的な活用の仕方(実践方法)を、1年〜1年半かけて、継続的に学び続けます。
受講生一人ひとりにプロのコーチがつき、目標達成と学習促進をサポートします。自分自身も定期的にコーチングを受けることによって、自らのコミュニケーションのスタイルについて棚卸しし、目指す組織などのゴールを都度具体化しながら、コーチングマネジメントを学びます。
また、コーチ・エィ アカデミアの核となるオンラインクラスは、複数名が同時にオンラインでクラスに参加できるコーチ・エィ独自のトレーニングスタイルを採用しています。自宅や会社はもとより、出張先、海外からも参加できるという利便性により、所在地や組織、職種や役職、世代を超えたさまざまな立場のリーダー同士が相互に刺激し合い、学習の継続性と俊敏性を追求しています。
*「『コーチングとはなにか?』ICF認定スクールに聞いてみた」記事一覧はこちら
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