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「想い」が本になるまで。〜『社員がメンタル不調になる前に』出版記念〜

こんにちは!広報担当の宮田です。
Smart相談室CEO藤田さんの初の著書『社員がメンタル不調になる前に』が6月21日(金)に発売となりました。

今回は、本書の発売にご尽力いただいた、日本能率協会マネジメントセンター 編集の黒川さんと藤田さんにこれまでのことを振り返っていただきました。

写真右 黒川 剛(くろかわ・つよし)
株式会社日本能率協会マネジメントセンター
ラーニングパブリッシング本部 本部長

1992年株式会社日本能率協会マネジメントセンター入社。HRM法人営業部門、人事アセスメント開発部門にてクライアント企業の様々な教育・研修プログラム開発、人事制度や昇進昇格審査制度構築支援、アセスメントセンター演習開発、研修講師、アセッサー等に従事。同社人事部人材開発室長等を経て出版事業本部に異動後は、主に「今こそ名著!シリーズ」や経営、人事・人材開発分野等の書籍編集に携わり、2018年より現職。


その企画にとってベストな編集者

(宮田)ついに書籍が発売となりました!今回はお二人と、出版企画が本という形になるまでを振り返っていきたいと思います。よろしくお願いします!

(藤田さん)よろしくお願いします。黒川さんとリアルでお会いするのは初ですね。

(黒川さん)そうですね。最近著者さんとやり取りするのもZoomばっかりです。書籍ができあがってから初めてお会いするケースが多いですね。

(宮田)今回、出版プロデューサーの稲垣さんからの企画提案だったと思うんですけど、第一印象はいかがでしたか?

*稲垣さんとの対談はこちら

(黒川さん)実は企画の持ち込みってすごく多いんですよ。とにかく書籍を書きたい方って世の中にたくさんいるんです。なので、企画書の持ち込みだけの場合はお会いすることも少ないんですが、稲垣さんは弊社の出版物の内容をよくご存知で、いいテーマですよとおすすめいただいたので、お話を伺いました。
第一印象としては、メンタルヘルスについて悩まれている方も多いと思うので、メンタル不調になる前に防ごうというテーマは非常に意義があると感じました。

(藤田さん)ありがとうございます。稲垣さんは黒川さんを大変信頼されていて。というのも、企画書を作る段階で本の「はじめに」に当たる部分を書いたんですが、その内容でいいのかあまり自信がなかったので、まずは何件か出版社さんにあたってもらえませんかってお願いをしたんですね。そしたら稲垣さんが、「これは私が信頼する編集者に一発で提案してみたい」っておっしゃったので、まず企画書を練り上げることになったんです。

その方にお断りされてしまったらどうするんだろうとは思ったんですが、「ダメだったらそのときに考えましょう。ただ複数の方に並行してご提案するようなものではなくて、藤田さんが本当に書きたい重要なテーマなんだから、私もその企画にとってベストな方に話したい」とおっしゃっていて、それが黒川さんだったんですね。

(黒川さん)そんな風に言っていただけてありがたいですね。でもそれならばとんとん拍子で。

(藤田さん)そうですね。僕らとしては企画が通らなかったらどうしようと構えていたんですが。

(宮田)すごいですね。なかなかそんなにスっと企画が通ることって少ないだろうなぁと思ってたので。

(黒川さん)でもね、意外とそういうのってあるんですよね。最初の波長が合うというか。あとは稲垣さんから、「今回の企画はすごく大事なテーマで、ぜひいろんな方に伝えたい」とおすすめされていたことも非常に大きかったですね。

左)プロデューサー・稲垣さん 中央)藤田さん 右)編集・黒川さん

(宮田)社内からの反応はいかがでしたか?

(黒川さん)社内では企画会議があって、そこでベテランも新人も関係なく編集者全員が企画を提出してお互いに意見を言い合うんですが、今回のテーマ自体は好印象でした。というのも、弊社は人事教育担当者や労務担当者向けの書籍を多く出版しているので、その一環として重要なテーマなのではないかと。もちろんいろいろフィードバックはありましたが、企画は一発で通りましたね。

(藤田さん)メモが入った状態で企画書が戻ってきたんですよね。ターゲットや書籍の立ち位置など、いろいろなことが書いてありました。それを真摯に受け止めつつ、書きながらどれが一番フィットしていくかっていうのを探っていこうとなりました。

(黒川さん)弊社の企画会議はZoomでやるんですが、事前にみんな企画書を見てコメントを入れることにしているんですよ。書き込みにすることで忌憚のないコメントがもらえて、企画がブラッシュアップされる感覚もあって。著者さんにはお見せしないケースもあるんですけど、今回はちょっと見ていただこうかなと思ってご共有しました。

 また、今回は商業出版なので、Smart相談室という会社の宣伝になりすぎないことには気をつかいましたね。ニュートラルな立ち位置で書いていただきつつ、その場合のターゲットは誰かをしっかり決めて作ってくださいというのがリクエストとして多かったです。

(藤田さん)その部分の塩梅は難しかったですね。宣伝になりすぎないように意識しながら書いたものを稲垣さんに見せたら、「宣伝色が強くなりすぎるといけないけど、Smart相談室の社長であることを書かないと、なんであなたがこのテーマで本を書いてるのかがわからない。それはだめなんです。」と言われて。稲垣さんに指導いただきながら、うまい具合に書いていきました。

自分で書きたかった理由とは?

(宮田)なるほど、書きながら同時にそういうフィードバックを受けて進行していたのですね。

(黒川さん)今回、藤田さんはご自身で書きたいとのことだったので、ライターを入れませんでした。初めての著者さんだと、ご自身で書ける方か書けない方かわからないので、一度1章分ぐらい書いていただいたのを読んで判断するんです。

(藤田さん)実は自分で書きたかった理由があるんですよ。僕は本を読むのが好きなんですけど、たまに読みにくい文章というか、独特だなと感じる本と、さらさら読みやすいなと思う本があって。それを友達に話したら、多分さらさら読みやすいのはライターが書いた本で、ちょっと引っかかるのは本人が書いてるんだよと言われたんです。

それを聞いてリスペクトしたんですよね。ちょっと読みにくいな、独特だなっていうのは自分で書いてるっていうことなんだと。確かに小説家ってその人が書くから小説になるわけじゃないですか。それと同じように自分で書くって結構大事なんだなと思って。特に今回は自分の想いとか課題意識があるものなので、稲垣さんも自分で書くことを後押ししてくれました。「辛いとは思う」って言われましたが(笑)。

(黒川さん)そうなんですね。本当に稲垣さんといいパートナーでやっていただけてよかったです。加えて、藤田さんは大学院の論文もお書きになられた経験もあるとのことだったので、書くことに対して抵抗もないだろうしっていうのもありましたね。基本的に、書きたいとおっしゃるのであれば書いていただくっていうスタンスなので、そのうえで安心材料も多かったのでお願いしました。

(宮田)ではまず第1章を書いてもらってこれでいきましょうと?

(黒川さん)そうですね。稲垣さんのチェックもあったんだろうと思うんですけど、読ませていただいた感じでは全然何の問題もなく、このトーンでいきましょうって感じでしたね。

(藤田さん)トーンについても稲垣さんに言われましたね。「これは真面目なのか、カジュアルなのか、論文なのか、どのくらいですか?」と聞かれて。「ですます」調ではありつつ、僕の気持ちを込める本なので、少しカジュアルなトーンを意識するようにしていました。

(黒川さん) 当初はA5版で、教科書のような内容で作ろうとしていたんですよね。だけど執筆を進めるなかで、マニュアルや体制を作ることが重要というような話ではなく、相談の重要性と相談しやすい雰囲気づくりのために、人事・労務担当者にとってどんなことが大事なのかという内容であることが見えてきたので、四六版で読みやすく、読者に寄り添える本の方がいいかなと思ったんです。そういう意味では途中トーンがちょっと変わったんですけど、いい方向に変わったんじゃないかなという気がしますね。

(藤田さん)確かに教科書だよって言われましたね。書いていく中で、ひと悶着ありました(笑)

(黒川さん)教科書的なものだと、経費で買って会社に1冊置いとくみたいなことがよくあるので、そういう実務書にするのがいいかなと当初は思ったんですけどね。ただ、やっぱり人事・労務担当者って言っても、社員の一人でもありますし、ご自身がメンタル不調に悩まれたりすることもあるでしょうから。そういう方々に寄り添えるような本になればいいなと思いました。

アンケートでみんなで作った1冊に

(宮田)本づくりで意識していたところや工夫したところはありますか?

(黒川さん)そうですね、あんまり堅苦しくならないように意識しました。心理系のテーマでもあるので、ビジネス書というよりは、心理ジャンルとビジネスジャンルの両方を掛け合わせたような柔らかめの内容にしました。メンタル不調に陥った人だけではなく、メンタル不調になる前の人もターゲットなので、あまり重たくなりすぎないように工夫しています。

 あとは、Smart相談室のサービスの中で実際に使っているイラストを支給いただいたので、うまく本文の中で使って柔らかい感じを出せたのもよかったかな。イラストを入れるかどうかは迷っていたんですけど、読みやすさを考えると入っていたほうがよくて。実際にサービスで使っているイラストなので一番いいかなと思って使わせてもらいました。

(宮田)装丁は4パターン出していただいて、Xではアンケート企画もさせていただきましたね。SNSでも社内でも一番人気だったものがそのまま装丁になりました。

(藤田さん)会うたびにいろんな人に言われますからね。「私はBに投票したんだけどな〜」「私はCが好きだったんだけどな」とかいろいろと(笑)

(黒川さん)そうですか。でもそうやって反響があると嬉しいですね。
弊社でも人事とかに聞いたりして、Aが一番柔らかくていいんじゃないかっていう意見でした。普段は編集部内で決めることが多いんですけど、今回はちょっと人事の話を聞いてみたりしましたね。

(宮田)そうなんですね、良い装丁になりましたね。これが書店でどう並ぶのか楽しみです。

メンタル不調当事者にも寄り添えるように

(宮田)苦労した点はありますか?

(黒川さん)最初原稿をもらったときに、お願いしていた文字数に足りなかったので、なにをどうやって入れたらいいかなとか、もう少しフォント大きくしたらいいかなとかいろいろ考えましたね。結果的に、相談者さんの声やカウンセラーさんのコラムとかいろいろ準備してくださったので、内容が充実してよかったです。

(藤田さん)稲垣さんから「文字数はそんな気にしなくていいから、まずはどんどん書いてみてください。自分がいいと思った段階で見せてください」と言われて、それで見せたら足りなくてあれ?みたいな感じになってしまって(笑)そのときは、企業色が強くなるかなと思って、カウンセラーさんのコラムとかを入れていなかったんですけどもやっぱり入れてみようかと。自分でも書き足しつつ今のページ数になったという感じです。

(黒川さん)難しいですけどね。本当に心から伝えたいページは、もしかしたらほんの数ページかもしれないし、あんまり冗長になりすぎてもいけない。でも本を作るとなるとそれなりの文字数がいるんでね。難しいところですよね。

(宮田)無事形になってよかったです。黒川さんが本のなかで一番印象に残っているところはありますか?

(黒川さん)そうですね、やっぱり「気軽に相談していいんだよ」っていうことですね。それができる職場づくりとか雰囲気づくりとか、それが非常に大事だなっていうのを全編通して感じました。

 実は私も人事部にいたことがあるんです。編集になる前に3年ぐらい人事の仕事をしていたことがあるので、休職者の情報が共有されると、「なんであの人が!?」と驚いたり。職場に戻ってこれる方もいれば残念ながら辞めてしまう方もいました。そういう方たちに対して、もっとなにかできなかったのかなという気持ちもあったんです。

 そして、藤田さんご自身の経験がこの事業を立ち上げたきっかけでもあるので、本にしても内容が地に足がついているというか。実感を伴って理解しやすいのもとてもいいなと思っています。

いつ何時どうなるかわかんないですから、何かあったときにメンタル不調にならないようにどうしたらいいかということを伝えられるといいなと。なので人事・労務担当者向けの本ではあるんですけど、当事者にも寄り添えるような内容も少し入れてもらいたいということはお願いしたんですよね。それが装丁にも反映されていて、困っていたり落ち込んでいたりする人が、書店さんにふらっと入って手に取ってもらえる本になるといいかなと思っています。

(宮田)黒川さんにも人事のご経験があったんですね。そんな共感してくださる編集者の方に担当いただけたのは、すごく運が良かったんじゃないかなと思います。

(黒川さん)自分も人事の経験があるので、人事の人たちが求めている本についてはよく考えます。人事制度の作り方とか教育の仕方についての本は数多あるんですけど、メンタルヘルスに関する本ってあまりなくて、あっても学術書とか学者さんが書いたようなテクニカルな本になってしまうんですよね。身近な経験から書かれた本はあるようでないんで、やっぱり必要な本なんじゃないかなとは思いましたね。

(宮田)ありがとうございます。では最後にひとことお願いします。

(藤田さん)黒川さんにはこの想いを広めるチャンスをもらったと思っているので、精一杯書きましたし、これが出版社さん経由で多くの方に届けばいいなと思っています。本当に機会をいただきありがとうございました。

(黒川さん)こちらこそありがとうございます。
少し落ち込んでしまったときに、気軽に相談できる体制があればいいですけど、なかなかないかなと思うので、まずはこの本をちょっと手に取っていただくといいのかなと思います。あとは、どう向き合ったらいいか悩んでいる人事・労務担当者のみなさんがこれで少し救われるような、そんな一冊になればいいなと思います。

(宮田)本日はありがとうございました!

*藤田さん執筆出版記念noteはこちら



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