カウンセラーのセルフケアとは?大好評の第2回スマソウ大学をレポート
こんにちは!Smart相談室ライターの稲葉です。
2024年7月に開講したオフラインセミナー「スマソウ大学」。好評につき、9月に早くも第2回が行われました!
第2回のテーマは「カウンセラーが健康的に活躍し続けるためのセルフケアとは?〜Smart相談室スーパーバイザー鵜飼さんによる特別講座〜」。
このnoteには、セミナーの様子やワークの内容をまとめました。特に次のような方に役立つ内容となっています。
もちろん、「スマソウ大学ってどんなことをやっているの?」と単純に気になる方も、ぜひ読んでみてくださいね!
▼開講の背景や第1回の様子については、こちらのnoteで紹介しています。
第2回スマソウ大学のメンバーはこちら!
スピーカーとしてお迎えしたのは、Smart相談室スーパーバイザー(*)であり、株式会社生き方はたらき方ラボラトリー代表取締役の鵜飼さん。
鵜飼さんがスーパーバイザーになるために学び始めたのは、それまで仕事を紹介してくれた先輩たちに「恩返し」をするのではなく、新たに「恩送り」をするためだそうです。素敵ですね!
司会を務めるのはSmart相談室カウンセラー事務局の三浦さん。
参加者の多くは、普段カウンセリングやコーチングを行う側の方たちです。前回のスマソウ大学に参加したリピートの方もいらっしゃいます。実は今回、スマソウ大学初の有料イベント!それでも申し込んでくださっただけあって、みなさま熱心に取り組んでいる様子でした。
ここからは、当日の進行に沿ってレポートしていきます!
1. 開講のご挨拶(19:00-19:10)
はじめに少しだけ、Smart相談室のサービスについてご紹介します。これまで、社外相談などの窓口サービスの利用率は1%程度で、ほとんど使われていないことも。しかしSmart相談室は、なんとその20倍も使われているんです!社内の5人に1人が利用しているイメージになります。
Smart相談室は働く人の「モヤモヤ」を解消する支援をしていますが、鵜飼さんいわく「モヤ」の段階で使われている印象とのこと。なぜこんなにカジュアルに使われているのかというと、
など、気軽に相談できるしくみが整っているからです。
このサービスを支えてくれているのが、現在約250名のカウンセラー(コーチ含む *以下、カウンセラーと記載)たち。質の高いカウンセリングやコーチングを提供していくためには、カウンセラー自身のセルフケアも重要です。そこで今回、「カウンセラーが健康的に活躍し続けるためのセルフケアとは?」というテーマが設定されました。
2. 研修(19:10-20:10)
いよいよ研修スタート!ワークとディスカッションを盛り込みながら講義が進みます。
支援者としてのセルフケア
まず「普段どんなセルフケアをされていますか?」というテーマで、3〜4名のグループごとに2分程度のディスカッション。みなさま活発に意見交換していらっしゃいました。
鵜飼さんによれば、カウンセラーには3種類のケアが必要です。
体調を整える「フィジカルケア」、一定の状態のメンタルを保つ「メンタルケア」は、本来の相談の質を維持するために重要です。また、自分の考え方の傾向や敏感になる話題などに気づく「カウンセラーとしての自己理解」も相談の質を上げるためには大切なことだそうです。
3つのケア、あなたはできていますか?
なぜセルフケアが重要か
カウンセラー以外の人にも参考になりそうな「3つのケア」ですが、なぜカウンセラーにとってセルフケアが重要なのでしょうか。それは、「カウンセリング中のカウンセラーは、頭の中が忙しい」から。カウンセラーは、相談者の話を聞きながら、同時進行でいろいろやっているのです。
たとえば、「座り方がくずれてきた」というような観察から関係性を見極めたり、「昇進したって言っているけど表情が暗い」ということから気持ちを察したり……。
さらに「この人はどういう役割を担っているのか?」といった外側の情報収集も行って、「この人はまじめすぎるからコミュニケーションが難しくなっている」というような個人個人の特徴も考慮しないといけない。そして、本質的な問題解決のために、いつどのように相談者に伝えればいいかも考える必要があります。
「とっても忙しいですよね」と語りかける鵜飼さんに、参加者のみなさまは苦笑しつつ「うんうん」とうなずいていました。カウンセラーって大変なんですね……!
実践ワーク!
「カウンセラーの頭の中は忙しい」というのがわかったところで、「ではどうやって情報を整理すればいいのか?」を体験できるワークが行われました。こちらは、鵜飼さんが傾聴などのトレーニングをするときに使っているワークシートです。
参加者のみなさまには、鵜飼さんが用意したオリジナル動画を観ながら、相談を受ける立場になって、このワークシートを埋めていただきました。
動画には、カウンセラーに向かって相談をする女性が映っています。「認知症の疑いがある義母がいる」という設定で、約25分にわたり悩みが語られました。
動画を観ながら、真剣な表情でペンを走らせる参加者のみなさま。話を聞くだけでなく、相談者の表情や動きを観察している様子も見られました。なかなかボリュームのある作業なので、途中で書く手を止めて悩んでいる方も……。
ワーク後は鵜飼さんによる解説です。シートの記入例はこちら。
カウンセラーは情報を聞きもらすまいと集中しながら、言葉になっていない部分についての仮説を立て、「そもそも何を相談に来たのか」を頭に置いて整理していくそうです。今回のワークの場合、中央上部の「相談したいこと:自分自身の生き方についてこれからのことを考えたい」が軸ですね。
また、相談をこれまで勉強してきたことと結びつけられると良いとのこと。たとえば「これは人生の岐路についての話だ」ということがわかったら、「シュロスバーグの4Sモデル」を思い出す……といったことです。みなさま自分のシートと比べながら聞き入っていました。
3. 質疑応答(20:10-20:40)
前回積極的に質問をいただいたため、今回はたっぷり質疑応答の時間を取りました。何度も積極的に手を挙げてくださる方もいれば、迷いつつも勇気を振りしぼって発言してくださる方もいて、参考になる質問と解答をたくさん聞けました。一部をこのnoteでもシェアします!
Q. 今回のワークでは書くことに集中できたが、普段はクライアントの顔を見たり、声をかけたりしているので難しい。話を聞いている最中の情報整理の仕方を知りたい。
A. 相談を受けているときに書くと、書いていないことが頭から抜けてしまうため、書かない。その代わり、聞いたことを映像でイメージすると良い。
Q. 相談の質を維持するメンタルケアは、不調がなくてもルーティーンとしてやるのか?それとも、気分が落ちていたり興奮しすぎていたりするときに意識的に取り入れるのか?
A. 不調になってしまうと上がるのが大変なので、少しつかれたな、という程度の小さい波のうちに対処する。鵜飼さんの場合、ひとりの時間が必要だと自覚しているため、SNSを控えたり部屋にこもって人との接触を閉ざしたりする。
Q. 1日何件ものカウンセリングを受けて動揺することが続いた場合、どうセルフケアしているか?
A. 相談記録を必ず書く。それでクールダウンできることが多い。
Q. 自分の状態を見極められない。「こうなったらこうしよう」という基準や目安はあるか?
A. 次の4段階でエネルギーをイメージする。
「やらなきゃいけないこと」にはエネルギーを使うので、それほど多くやらないほうがいい。「④は無理だな」と思ったらなるべくやめる。どうしても必要なことだけやって、さっさと③か②でいられる状態に持っていく。
Q. カウンセラーに話を聞いてもらうことは、経験として大事だと思っている。でも会社にSmart相談室のようなサービスがない場合、相談に行くハードルが高い。どうしたらいいか?
A. 鵜飼さんは、20年間月1程度、自己理解のために自分がカウンセリングを受けている。マッサージなどのボディメンテと同じような気軽な感覚。緊急性があるときは公共の電話相談も使う。
Q. 自己理解について。カウンセラーに聞かず、自分自身で気づくことはできるのか?
A. 誰かと対比しないと気づきにくい。友達とお茶を飲んでいるときや、テレビを観ながら家族としゃべっているときなど、「こういうふうに考えるんだな」といろいろな機会で自分を振り返るようにする。自分のことを知っていくと、視点が多面的になって丸に近づいていく。
Q. このどうやってワークシートを埋めればいいのか……。特に右端のブルーの「推察(根拠)」のところが難しい。
A. 慣れもあるかもしれないが、まず知識が必要。学んできた理論は、生活の中で統計的にできたものなので、理論と自分を近づけて考えてみる。復習するとき、自分のことを照らし合わせながら読むと良い。
Q. 相談を聞くと疲れてしまう。しっかり自分が回復した状態で聞きたいが、どこまで回復していればいいのかわからない。
A. 相談者に最大限近づこうと努力はするが、「どうしたって他人事」という客観性は持っている。カウンセリングの限界を知りつつ限界に挑む。そうするとどっぷり疲れることはないのでは。
Q. 相談に臨むときの自分の整え方は?
A. 鵜飼さんの場合、「やるよ!いつもと違うモードになるよ!」というつもりで、もものあたりを手のひらで叩くのがルーティーン。また、ゲシュタルト療法の生みの親パールズによる「ゲシュタルトの祈り」(*)を手帳に書いて読んでいる。
4. 懇親会(20:40-21:00)
最後は懇親会。おひとりで参加の方ばかりでしたが、同じ志を持っていることもあり、研修をとおしてすぐに打ちとけたようです。お話のきっかけとなるイントロダクションシートを用意しましたが、その項目にとどまらずご歓談されていました。
締めは、ご了承いただいたみなさまで記念撮影!
おわりに
講義を聞くだけでなく、ワークでいろいろ考えたり、ほかの人の考えを聞いたりと、盛りだくさんな2時間でした!私のようにカウンセラーではない人にも役立つ内容でしたが、普段からカウンセリングやコーチングに携わっている参加者の方々は、より多く深く学んでいただけたのではないでしょうか。
ちなみに、10月22日にはスマソウ大学の交流会を開催します!これまで、研修をメインとしたイベントを行ってきましたが、参加者のみなさんから「もっと交流したい!」というお声があったので、今回はカウンセラーのみなさん同士の交流会をメインとしています。軽食をご用意していますので、ぜひ食べながら飲みながらお話しましょう!
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